ヒメコブシ/シデコブシ -木の名前の由来

姫拳(ヒメコブシ)/四手辛夷or幣拳(シデコブシ)木の名前の由来

モクレン科モクレン属
Magnolia tomentosa

コブシと同じ頃(3月~4月頃)に花を咲かせるシデコブシ。
シデコブシは成長が遅く管理も容易のため、人気があります。
花色は白が中心ですが、濃いピンクまで個体差があるほか、形も1重から八重と園芸品種化されています。
変種のベニコブシ(ヒメシデコブシ)var.keiskeiは全体的に小形で花は赤色で特に人気。

しかし!
分布の広いコブシとは異なり、東海地方の伊勢湾周辺の山地に局部的に自生する稀少な花木なんです。
そのため、日本の絶滅危惧植物の一つとして環境省の「レッド・データブック(RED DATA BOOK)※1」にも記載があります。

シデコブシは生きた化石とも呼ばれ、過去の気候やその他の環境条件の変化に耐えて生き残った遺存種。
そんな変化に生き残ったシデコブシが、なぜ絶滅危惧植物になるかと言うと?

原因は、ゴルフ場や商業地のため自生地が埋め立てられてしまったのです。
そんな中、ヒメコブシの自生地を守ろうという動きがあり
「日本シデコブシを守る会」から「シデコブシの自生地」(1996年)が刊行されました。

聞けば、2005年に行われた「愛・地球博」。
西ドイツ・ハノーバー万博は一本の木をも切らずに開催することを目指したのに対して、愛知万博は公園内はもとより、
その周辺の道路造成のために木どころか山も削り、地形が大幅に変わったそうですが。

その会場候補地に最初はシデコブシの自生地が選ばれていたというお粗末な話もあったようです。
「なにが、愛 地球博」だと猛反対されたので、結局は自生地は守られたようですが。

「えっ!だってヒメコブシ普通に店売ってるよね」と思われた方は安心して下さい。
この場合、もともと自生しているのが絶滅の危惧にさらされているので。
普通に店に売っている物は植木生産者が増やして出荷してるものです。

画像

四手辛夷or幣拳(シデコブシ)の名前の由来は、花の形が玉串やしめ縄につけるシデ(四手)に似てることと
姿がコブシに似てることによります。
簡単すぎましたか(笑)

コブシの時にコブシの意味は掲載したので省略します。
属名のMagnolia tomentosaはフランスの植物学者P.Magnol(ピエール・マニョル)にちなみ、
種小名は密に細綿毛がある意味で、本年枝、花芽の状態を表しています。

普通はヒメコブシで普及してると思いますが、正式名称は四手辛夷or幣拳(シデコブシ)となります。
シデコブシの「シデ(四手)」の意味は、ジューンベリーの時のもお話しましたが、神社なんかに行くと太いしめ縄に白い紙がぶら下がっています。
この飾りみないな紙でできたものを四手といいます。
もうお解かりだと思いますが、花が四手を思わせることからシデコブシ(四手辛夷)と呼ばれるようになったようです。
シデ(四手)○○というのは、シデコブシだけではなく、シデザクラ(ジューンベリー)やシデノキなのもありますのでご参考まで。

あと気になるのが、四手辛夷or幣拳(シデコブシ)の漢字表記が二つあること。
これは深く考えないで、四手(シデ)(※紙垂(シデ)と表記する場合もあり)のことを幣(ヌサ)と言い同じ意味となります。
つまり、四手=幣 で同じ意味になります。
「辛夷or拳(コブシ)」は、前回のコブシでも紹介したように中国で辛夷はモクレンを指すため、拳という字も使われるようです。

次に別名のヒメコブシの「ヒメ」についても少し説明をすると。
コブシに比べて小さいことによります。
例えば、シャラ(夏椿)より花や葉が少し小さいヒメシャラやヒメシャリンバイなんかも「ヒメ」が付いていますネ!


※1
環境省「レッド・データブックRED DATA BOOK」
絶滅のおそれがある動植物のリスト。
国際自然保護連合(IUCN)という団体が、1966年に初めて発行したのが最初。
日本では、1991年に『日本の絶滅のおそれのある野生生物』というタイトルで環境庁(現在の環境省)がレッドデータブックを作成。
2000年からはその改訂版が、植物や動物の大きなグループごとに順次発行されています。


日本の絶滅のおそれのある野生生物 (1) (レッドデータブック)

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